事例集:遺産分割協議
遺産分割協議
10年以上音信不通の弟との遺産分割協議
このケースの問題点
被相続人が亡くなり、遺産分割の協議をしたいと思っていますが、海外に行った弟と10年以上音信不通になっている。
この場合、分割協議はできるのか。
このケースの解決事例
遺産分割協議は共同相続人全員でしなければなりませんので、行方不明の弟を除いての協議は無効となります。
この場合考えられる方法として次の二つがあります。
1) 行方不明者を排除する方法:
生死不明の期間が7年以上の場合、家庭裁判所に失踪宣告の審判を申し立てることができます。この審判が為されると、行方不明になってから7年を経過したときに死亡したものとみなされます。ただし、弟に子がいる場合は、その子が代襲相続人として協議に加わることになります。
2) 代理人をたてる方法:
家庭裁判所に行方不明者のための財産管理人(不在者財産管理人)を選任してもらいます。裁判所の許可を得てその財産管理人を加え、遺産分割協議を行います。
日本に弟の子がいて、相続財産を必要としている場合は1)を、弟が戻ってくる可能性がある場合は2)を選択することが最善かと思われます。
認知症の方がいる場合の遺産分割協議
ケース
相続財産(遺産) |
相続人 |
問題点 |
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このケースの問題点
遺産分割協議書を作成する際に、相続人の中に認知症や知的障害者等がいるときは分割協議を進めることができません。
このケースの解決事例
そこで、相続人Cについては、家庭裁判所の後見開始の審判の申立をします。
成年被後見人とし、成年後見人という保護者を付けます。
そして、成年後見人が成年被後見人(病気の人)を代理して遺産分割協議に参加することになります。ただし、成年後見人は成年被後見人にとって不利な協議はできないので、法定相続分に相当する財産は確保する必要があります。
その結果まとまった遺産分割協議でもって、不動産の名義変更や預貯金の払い戻しが可能になります。
相続人の内に未成年者がいる場合の手続
ケース
相続人 |
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このケースの問題点
相続人の中に未成年者がいる場合の遺産分割協議について、民法では、未成年者は法律行為を行う能力が不完全であるとされています。よって、未成年者本人が法律行為である分割協議に参加することは出来ません。
このケースの解決事例
家庭裁判所への手続き方法
【1】「特別代理人選任の申立て」を行う。未成年者の住所地を管轄する家庭裁判所で親権者が申立人となって行う。
【2】提出書類
1.特別代理人選任申立書
2.申立人(親権者)及び未成年者の戸籍謄本各1通
3.特別代理人候補者の戸籍謄本、住民票各1通
4.遺産分割協議書
実際の分割協議書には、未成年者に代わって署名・押印した特別代理人が正式に選任された特別代理人であることを証明するために、審判書を添付することになります。分割協議書は、不動産の相続登記など名義変更をする場合に必要となります。
申立てをしてから所定の手続きを経て、家庭裁判所の審判が下りるまでにはある程度の期間(通常1か月程度)がかかります。
遺産を独り占めされそうな場合
ケース
相続財産(遺産) |
相続人 |
問題点 |
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このケースの問題点
去年父親が他界し、保険金が1500万円入ってくる事がわかった時、母親が一人でもらえると思い込んでいるようでした。
父親名義のマンションが2つあり、ひとつは売却、さらにもうひとつのマンションは、従兄弟にあげる事にしたと電話で話を聞きました。遺産分割協議などという言葉は一切でません。私はまともに妥当な遺産を受け取りたいです。遺言書も無いと母親・姉・弟も話していました。
このケースの解決事例
マンションは、遺言書で誰かのものとしていない限り、全相続人の同意がないと、所有権移転の登記ができません。遺産分割の話がつかないと、法定相続分どおりの共有となります。生命保険金は、受取人が指定されていない限り、相続財産となり、1人のものにはできません。
まずは、どのような遺産があるかを調査するべきです。たとえば、預金等は、相続人であることを証明すれば、残高などを明らかにしてくれます。
知らない相続人がいた場合
ケース
相続財産(遺産) |
相続人 |
問題点 |
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このケースの問題点
父親が亡くなり、父親に財産はなく、借金が300万円ほどありました。
相続人は後妻の子(成人)2人と面識のない先妻の子供(成人)1名。
このケースの解決事例
その相続人には連絡せずに兄弟2人で遺産分割していいですか?というような相談が稀にあります。
残念ながら遺産分割は、相続人全員でやらなければなりません。
この方の場合には、相手の方に連絡をとって話し合いをしたところ理解していただき同意いただけました。